一人暮らしは寂しいしやる気が出ない?国の調査で最大の要因は別だった
内閣府の全国調査で、孤独感に影響を与えた出来事として「一人暮らし」を挙げた人は18.8%。ただし孤独感が低い人でも8.6%が挙げており、差は10.2ポイントでした。最大は別の項目です。
電気をつけて、鞄を置いて、誰にも「ただいま」と言わない。その静けさが自分だけのものかどうか、確かめたことがなかった。
内閣府の全国調査で、孤独感に影響した出来事の1位は「家族との死別」24.6%。「一人暮らし」は18.8%で2位でした。しかも孤独感が低い人でも8.6%が一人暮らしを挙げていて、差は10.2ポイントです。※内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)」で確認
一人暮らしの気持ちの話は、一人暮らしのリアル(全まとめ)にまとめています。
この記事の調べ方
- 確認した情報源
- 内閣府孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果のポイント」。統計法に基づく一般統計調査で、全国の満16歳以上2万人に配布、有効回答10,876件(有効回答率54.4%)
- やったこと
- 図5「現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事」の2群(孤独感が比較的高い人 n=4,183/低い人 n=6,157)を並べ、差が大きい順に見た。図1の経年も4年ぶん書き出した
- 確認日
- 2026-08-19(当日にPDFを取得して照合)
- していないこと
- この記事は状態の診断をしない。対処法として医療・心理の助言もしない。読んだのは公表された集計結果だけ
出来事の順位は、思っていたのと違った

内閣府の調査では、孤独感が「しばしばある・常にある」「時々ある」「たまにある」と答えた人(孤独感が比較的高い群)と、「決してない」「ほとんどない」と答えた人に分けて、影響した出来事を聞いています(出典:内閣府孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果のポイント」、2026-08-19閲覧)。
| 出来事 | 孤独感が高い群(n=4,183) | 低い群(n=6,157) | 差 |
|---|---|---|---|
| 家族との死別 | 24.6% | 14.7% | 9.9pt |
| 一人暮らし | 18.8% | 8.6% | 10.2pt |
| 転校・転職・離職・退職(失業を除く) | 14.7% | 6.5% | 8.2pt |
| 心身の重大なトラブル(病気・怪我等) | 14.3% | 5.5% | 8.8pt |
| 人間関係による重大なトラブル | 13.7% | 3.2% | 10.5pt |
| 家族の病気・障害 | 11.4% | 7.0% | 4.4pt |
| 生活困窮・貧困 | 9.5% | 2.3% | 7.2pt |
回答率で見ると一人暮らしは2位です。ただ2つの群の差で見ると、いちばん開いているのは「人間関係による重大なトラブル」の10.5ポイントで、一人暮らしは10.2ポイントの2番手でした。
一人暮らしを挙げた人は、孤独感が低い群にも8.6%いる。一人暮らしそのものが孤独感を決めているわけではない、という形の数字。
「特に出来事はない」が43.5%
同じ図の下のほうに、見落としやすい行があります。「特に影響を与えたと思われる出来事はない」を選んだ人が、孤独感が低い群で43.5%、高い群で16.3%。差はマイナス27.2ポイント。この表の中でいちばん大きな開きです。
つまり孤独感が低い人の4割は、そもそも影響した出来事を挙げていません。何かが起きなかったから孤独でない、という形になっています。逆に孤独感が高い群では、8割以上が何らかの出来事を挙げました。
この4年、割合はほとんど動いていない

孤独感を直接聞いた設問の結果を、4年ぶん並べました。
| 調査年 | n | しばしばある・常にある | 時々ある | たまにある |
|---|---|---|---|---|
| 令和3年 | 11,867 | 4.5% | 14.5% | 17.4% |
| 令和4年 | 11,218 | 4.9% | 15.8% | 19.6% |
| 令和5年 | 11,141 | 4.8% | 14.8% | 19.7% |
| 令和6年 | 10,871 | 4.3% | 15.4% | 19.6% |
資料には「令和5年と比較すると、大きな差異はみられない」と明記されています。比率の差の検定を行い、信頼度95%で有意差が認められる場合にのみ判定する、という注記つきです。
年代別では、令和6年に「しばしばある・常にある」が高かったのは20歳代7.4%、30歳代6.0%。全体の4.3%より高く、若い世代に寄っています。一人暮らしを始める年齢層と重なるので、「一人暮らしだから」と読みたくなりますが、この調査は原因を特定する設計ではありません。
「会っていない日が続く」の割合
孤立の側の設問も見ました。同居していない家族や友人たちと直接会って話す頻度で、「全くない」は9.3%。令和3年の11.2%から少しずつ下がっています。
社会活動への参加は「特に参加はしていない」が50.6%、いずれかの活動に参加している人が46.6%。半分の人は何にも参加していません。参加していないことは、この調査では珍しい状態として扱われていません。
休日の過ごし方は一人暮らしの休日はつまらない?、人づきあいの話はミニマリストは友達がいない?にまとめています。
よくある質問
一人暮らしは孤独感の最大の原因ですか?
内閣府の令和6年の全国調査では2位でした。孤独感が比較的高い人が挙げた出来事の1位は「家族との死別」24.6%、2位が「一人暮らし」18.8%、3位が「転校・転職・離職・退職(失業を除く)」14.7%です。
孤独感が低い人は一人暮らしを挙げないのですか?
挙げています。孤独感が「決してない」「ほとんどない」と答えた人(n=6,157)でも8.6%が一人暮らしを挙げました。孤独感が比較的高い人の18.8%との差は10.2ポイントです。同じ出来事が両方の群から挙がっています。
孤独感を感じる人は増えていますか?
この調査の範囲では大きくは動いていません。孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人の割合は令和3年4.5%、令和4年4.9%、令和5年4.8%、令和6年4.3%です。調査の資料にも「令和5年と比較すると、大きな差異はみられない」と書かれています。
年代によって違いはありますか?
あります。令和6年調査で「しばしばある・常にある」の割合が高いのは20歳代(7.4%)と30歳代(6.0%)で、全体の4.3%を上回っています。若い世代のほうが高く出る構造です。
誰にも会わない日が続くのは普通ですか?
同居していない家族や友人たちと直接会って話すことが「全くない」と答えた人は9.3%でした。逆に言えば9割は何らかの頻度で会っています。この記事は状態を診断するものではないので、つらさが続くときは公的な相談窓口を頼ってください。
「一人暮らしだから寂しい」で説明を止めない。国の調査では、一人暮らしを挙げた人は孤独感が低い群にもいる。
回答率だけ見れば一人暮らしは2位で、大きな要因に見えます。ただ低い群と並べると景色が変わりました。同じ出来事を挙げていても、孤独感の強さは分かれています。この形の数字は、住まいの形だけで説明が完結しないことを示しています。引っ越しや同居で解決すると思って動くと、思ったほど変わらないことがあります。
この見解が当てはまらない人:家族との死別を経験した直後の人には当てはまりません。その項目は回答率で1位であり、扱いが違います。つらさが続く場合は、この記事ではなく公的な相談窓口を頼ってください。
根拠:内閣府孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果のポイント」の図1・図3・図5・図7・図8(2026-08-19閲覧)。差のポイント数は資料に掲載された「回答割合の差」の列をそのまま使いました。編集部は心理や医療の専門家ではないため、個々の状態については立場を取りません。
この記事のまとめ
- 孤独感に影響した出来事の1位は「家族との死別」24.6%。一人暮らしは18.8%で2位
- 孤独感が低い群でも8.6%が一人暮らしを挙げている(差10.2pt)
- 差が最大なのは「人間関係による重大なトラブル」10.5pt
- 孤独感の割合は令和3〜6年でほぼ動いていない(4.5→4.9→4.8→4.3%)
- 直接会って話すことが「全くない」は9.3%、社会活動に不参加は50.6%
出典・参考(すべて2026-08-19閲覧)
- 内閣府孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和6年)調査結果のポイント」 https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa/r6/pdf/tyosakekka_point.pdf
- 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」 https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa.html