一人暮らしの副業で会計ソフトが要るかは、控除の要件から逆算して決める
会計ソフトを値段で選ぶと、必要のない機能に年会費を払い続けます。65万円の青色申告特別控除にはe-Taxでの申告か優良な電子帳簿が要り、電子取引のデータは電子のまま保存する義務があります。要件から逆算します。
会計ソフトの比較記事は料金表から始まります。副業を始めたばかりの一人暮らしがまず決めるのは、そもそも何の要件を満たす必要があるかです。
会計ソフト選びは料金の比較ではなく、「自分が満たす必要のある要件」から逆算して決まります。青色申告特別控除の65万円を取るなら、55万円の要件に加えてe-Taxでの提出か電子帳簿保存のどちらかが要ります。ここが決まると、必要な機能が絞られます。※要件は国税庁の公式ページで2026-08-14に確認
この記事の調べ方
- 確認した情報源
- 国税庁の公式ページ3本(青色申告特別控除・電子取引データ保存制度・インボイス制度)。要件はここから取った
- 判断軸
- 「満たすべき要件 → 要る機能 → 費用」の順で決める。逆から見ない
- していないこと
- 各社の料金・プラン構成の転記。改定とキャンペーンで動くため。会計ソフトへのリンクもこの記事には置いていない
- 確認日
- 2026-08-14(要件はこの時点)
結論:3つの質問に答えると、要る機能が決まる
ソフトの機能一覧を眺めても、自分に要るものは分かりません。先に決めるのは自分の側です。
| 先に決めること | 要件 | ソフトに要る機能 |
|---|---|---|
| 青色申告で65万円控除を取るか | 複式簿記での記帳、貸借対照表と損益計算書の添付、期限内申告に加えて、e-Taxでの提出か電子帳簿保存のいずれか | 複式簿記の記帳と、e-Taxへの直接送信(またはe-Tax用データの出力) |
| ネット経由で請求書や領収書を受け取るか | 電子取引の取引情報は電子データのまま保存する | 受け取ったデータを検索できる形で保存する仕組み |
| インボイス登録をするか | 適格請求書発行事業者としての登録 | 適格請求書の発行と、登録番号の管理 |
3つとも「いいえ」なら、会計ソフトを契約する理由はまだありません。取引が月に数件なら表計算ソフトで足ります。年会費は毎年かかる固定費なので、要るようになってから払うほうが軽く済みます。
65万円控除の要件を、そのまま読む
国税庁のタックスアンサー No.2072 に書かれている条件はこうです。
55万円控除:「不動産所得または事業所得を営み、複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告すること」。
65万円控除:55万円の要件に加えて、「電子帳簿保存を行うこと」または「e-Taxで確定申告書等を提出すること」のいずれかに該当すること。
10万円控除:55万円および65万円の要件に該当しない青色申告者(出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」、2026-08-14閲覧)。
65万円と55万円の差は「e-Taxで出したか」だけで生まれることがある。ソフト選びで先に見るのは、e-Taxまで到達できるかどうか。
10万円の差が出るなら、その差はソフトの年会費より大きくなる場合があります。ただし控除の額は所得の状況で変わるので、自分の数字で計算してください。この記事では税額の見込みは扱いません。
紙に出して保管する、が通らなくなった部分
もう1つ、ソフト選びに効く要件があります。電子取引の取引情報は、電子データのまま保存するとされています。対象は法人と個人事業者です(出典:国税庁「電子取引データ保存制度サイト」、2026-08-14閲覧)。
一人暮らしの副業で、これに当たるものは思ったより多くあります。
- クラウドソーシングの支払明細
- メールに添付されて届いた請求書PDF
- ネット通販の注文履歴からダウンロードした領収書
- アプリ内で発行される決済の控え
これらを印刷してファイルに綴じる運用は、要件を満たしません。ソフトを選ぶときは、受け取ったデータをそのまま保存して後から探せるかを見ます。要件の詳細と猶予措置は国税庁のサイトで確認してください。
インボイス登録を先に決める
適格請求書を発行する機能は、登録していなければ使いません。登録するかどうかを決めてからソフトを選ぶのが順番です。
免税事業者のままでいる場合の特例(2割特例)については、国税庁がインボイス制度の特設サイトに専用ページを設けています(出典:国税庁「特集 インボイス制度」、2026-08-14閲覧)。自分の売上先の構成で判断が変わるため、ここで一般論の結論は書きません。
一人暮らしの固定費として見ると
会計ソフトは月額または年額の固定費です。他のサブスクと同じ棚に並べて考えます。
判断の順番はこうなります。①要件を満たす必要があるか → ②表計算で回る件数か → ③回らないならソフト。この順で見ると、開業したての年に高いプランを契約して、機能の8割を使わないまま更新する事故が減ります。
逆に、要件を満たす必要があるのに手作業で通そうとすると、申告の直前に数日を溶かします。時間も固定費です。件数が月20件を超えたあたりから、手で処理する時間のほうが年会費より重くなりやすい、というのが判断の目安です(目安であって、実際の分岐点は取引の種類で変わります)。
固定費の見直し全体はミニマリストの持ち物を減らすと合わせて考えると整理しやすくなります。
この記事に料金表を置かない理由
1. 初年度無料の扱いで順位が入れ替わる。1年目だけ無料のプランと、通年同額のプランを同じ表に並べると、2年目以降の総額が見えません。
2. プランの区切りが各社で違う。同じ「スタンダード」でも、含まれる機能が違います。名前が同じ列を横に並べても、比較になりません。
3. 税込と税抜が混ざる。公式の表記が揃っていないため、転記の時点で差が生まれます。
比べるなら、公式サイトで「2年目以降の年額(税込)・e-Taxへの送信可否・電子取引データの保存機能・適格請求書の発行機能」の4つを自分でメモしてください。この4項目が、上の3つの質問にそのまま対応します。
よくある質問
青色申告特別控除の65万円を取るには何が要りますか
55万円控除の要件(不動産所得または事業所得を営み、複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告する)に加えて、電子帳簿保存を行うか、e-Taxで確定申告書等を提出することのいずれかに該当する必要があります(出典:国税庁 No.2072、2026-08-14閲覧)。
メールで受け取った請求書PDFは印刷して保管すればいいですか
電子取引の取引情報は電子データのまま保存が必要とされています。対象は法人と個人事業者です。詳しい要件と猶予措置は国税庁の電子取引データ保存制度サイトで確認してください(出典:国税庁、2026-08-14閲覧)。
白色申告なら会計ソフトは要りませんか
帳簿づけの手間は減りますが、電子取引データの保存義務は所得の申告方法と別に決まります。取引の数が月に数件で、ネット取引がほとんどないなら表計算ソフトでも回ります。判断は件数で決めてください。
インボイス登録をしていない場合、ソフトに要る機能は変わりますか
変わります。登録していなければ適格請求書の発行機能は使いません。売上先が課税事業者ばかりかどうかで登録の要否が変わるので、まず登録するかを決めてからソフトを選ぶ順番になります。
この記事はなぜ各社の料金を並べないのですか
プラン構成と価格はキャンペーンや改定で動くうえ、初年度無料の扱いで見かけの順位が入れ替わるからです。この記事では、価格が動いても変わらない「自分に要る機能」の決め方だけを扱います。
この記事のまとめ
- 順番は「要件 → 要る機能 → 費用」。料金表から入らない
- 65万円控除は、55万円の要件+e-Taxでの提出か電子帳簿保存のいずれか
- 電子取引の取引情報は電子データのまま保存する。印刷して綴じる運用は要件を満たさない
- 適格請求書の発行機能は、インボイス登録を決めてから要否が決まる
- 3つとも該当しないうちは契約しない。年会費は毎年かかる固定費として見る
出典・参考(すべて2026-08-14閲覧)
- 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
- 国税庁「電子取引データ保存制度サイト」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
- 国税庁「特集 インボイス制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm