ミニマリストは自炊しない?国は「鍋よりレンジ」と書いている
自炊をやめるかどうかの前に、自炊のどこにエネルギーがかかっているかを見ました。資源エネルギー庁は野菜の下ごしらえをガスコンロから電子レンジに移すと年860〜1,000円としています。
価格・プランは2025年12月時点の各社公式サイトの表示にもとづきます。最新の金額は各社の公式サイトでご確認ください。
鍋に水を張って火にかけ、沸くのを待つ数分。あの時間に何が起きているのかを、数字で見たことがなかった。
資源エネルギー庁は自炊をやめろとは書いていません。書いてあるのは「野菜の下ごしらえは鍋より電子レンジ」で、差は年860〜1,000円です。自炊するかしないかの二択の手前に、火からレンジへ移す段階があります。※資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」キッチンの電子レンジ・ガスコンロの項で確認
一人暮らしの食まわりは、一人暮らしのリアル(全まとめ)にまとめています。
この記事の調べ方
- 確認した情報源
- 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」キッチンの電子レンジ・ガスコンロ・「かしこくお買い物&クッキング」の各項
- やったこと
- 「自炊をやめる」「外食に切り替える」に相当する試算が資料内に存在するかを探し、無いことを確認したうえで、実際にある比較だけを抜き出した
- 確認日
- 2026-08-19(当日にページを取得して本文と照合)
- していないこと
- 自宅でガス・電気の使用量を測っていない。外食・中食の費用比較もしていない。国の資料にその比較が無いため
「自炊をやめる」は、国の資料に存在しない選択肢

先に、無かったものを書いておきます。資源エネルギー庁のキッチンのページを最初から最後まで読みましたが、自炊と外食・中食を比べた記述はありませんでした。やめた場合の試算もありません。
あるのは、調理方法を変えた場合の比較だけです。ここが今回いちばん大事なところで、「自炊をやめると得か」という問いに、国の資料は答えていません。答えているのは別の問いです。
資料が答えているのは「自炊するか」ではなく「自炊のどこを変えるか」。比べられているのは鍋と電子レンジ。
鍋と電子レンジの差は、年860〜1,000円
電子レンジの項に、3種類の野菜で比較が出ています(出典:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」キッチン、2026-08-19閲覧)。
| 食材 | ガスコンロ | 電子レンジ | 差(年間) |
|---|---|---|---|
| 葉菜(ほうれん草・キャベツ) | ガス8.32㎥・約1,350円 | 電気13.21kWh・約410円 | 約940円 |
| 果菜(ブロッコリー・カボチャ) | ガス9.10㎥・約1,470円 | 電気15.13kWh・約470円 | 約1,000円 |
| 根菜(ジャガイモ・里芋) | ガス9.48㎥・約1,540円 | 電気22.01kWh・約680円 | 約860円 |
前提はこう書かれています。「100gの食材を、1Lの水(27℃程度)に入れ沸騰させ煮る場合と、電子レンジで下ごしらえをした場合を比較(食材の量等により異なります)(365日、1日1回使用)」。
毎日1回、100gの野菜を下ごしらえする人の数字です。週に2回しか野菜を茹でない人なら、単純に3分の1以下の差にしかなりません。それでも向きは変わりません。火よりレンジのほうが少なくて済む、という向きです。
火を使うなら、書いてある4つ

ガスコンロの項には、行動が4つ並んでいます。金額がついているのは1つだけでした。
| 行動 | 資料の記述 | 年間の金額 |
|---|---|---|
| 炎を鍋底からはみ出させない | 水1L(20℃程度)を沸騰・強火→中火・1日3回 | 約390円 |
| 鍋の水滴をふき取る | 「水を蒸発させるのに、余分なエネルギーが必要」 | 記載なし |
| 平たい底の鍋を使う | 「丸い底のものより、平たい底の方が熱効率が良く」 | 記載なし |
| 鍋をのせてから点火する | 「点火するのは、鍋ややかんをのせてから」 | 記載なし |
電子レンジへの置き換えが年860〜1,000円、火力の調整が年約390円。資料の中では、器具を変えるほうが火加減より2倍以上大きい扱いになっています。
買い方の話には、金額がついていない
同じページに「かしこくお買い物&クッキング」という欄があり、4つ書かれています。必要なものだけ買う、旬のもの・近くのものを選ぶ、ばら売りや量り売りを使う、残りものも使い切る。
ここには金額がありません。理由と思われる記述は本文にありました。「生ごみの1/4は食べ残しや保存していたものです。食材を作るときもごみを焼却するときもエネルギーが使われます」。使う側ではなく、捨てる側にエネルギーがかかるという話です。
自炊しない暮らしを選ぶと、この欄の4つはほぼそのまま効かなくなります。買う量を自分で決める場面が減るからです。やめる判断は、省エネの打ち手をいくつか手放す判断でもあります。
器具をどこまで持つかはミニマリストのキッチンに必要なもの、同じものを食べ続ける形はミニマリストは毎日同じものを食べる?にまとめています。
よくある質問
自炊をやめるとエネルギーは減りますか?
国の資料に「自炊をやめた場合」の試算はありません。あるのは調理方法を変えた場合の比較だけです。たとえば野菜の下ごしらえをガスコンロから電子レンジに移すと、葉菜で年約940円、果菜で年約1,000円、根菜で年約860円の節約とされています。
電子レンジ調理だけでも自炊と言えますか?
言葉の定義は資料の外です。ただ資源エネルギー庁は電子レンジを「煮込み料理の野菜はチンしてから鍋へ」という形で調理の一部として扱っています。国の資料では、レンジは自炊の外にある機器ではありません。
節約額の前提は何ですか?
「100gの食材を、1Lの水(27℃程度)に入れ沸騰させ煮る場合と、電子レンジで下ごしらえをした場合を比較(食材の量等により異なります)(365日、1日1回使用)」と書かれています。毎日1回の下ごしらえが前提です。
ガスコンロを使うときの省エネ策はありますか?
あります。水1L(20℃程度)を沸騰させるとき強火から中火にすると、1日3回で年間ガス2.38㎥・約390円の節約とされています。ほかに鍋底の水滴を拭く、平たい底の鍋を使う、鍋をのせてから点火する、の3つが挙げられています。
外食・中食に切り替えるほうが得ですか?
国の省エネ資料に外食・中食との比較はありません。同じページにあるのは「必要なものだけ買う」「旬のもの、近くのものを」「ばら売り、量り売りを」「残りものも使い切る」という買い方の話です。金額は示されていません。
「自炊するか、しないか」で考えるのをやめて、「火を使うか、レンジで済ますか」で考える。国の資料が答えを持っているのは後者だけ。
自炊をやめた場合の試算は、探しても見つかりませんでした。一方で調理方法の比較は具体的な数字つきで載っています。答えのある問いに置き換えたほうが、判断の材料が増えます。レンジ中心に寄せる形なら、自炊をやめずに火だけ減らせます。
この見解が当てはまらない人:焼く・炒める調理が中心の人には当てはまりません。国の比較は「煮る」を対象にしていて、焼き調理の置き換えには触れていないためです。オール電化でガスコンロが無い住まいも前提が異なります。
根拠:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」キッチンの電子レンジ・ガスコンロ・かしこくお買い物&クッキングの各項(2026-08-19閲覧)。「自炊をやめた場合」「外食との比較」が同ページに存在しないことは、編集部が全文を読んで確認しました。編集部は自宅で計測していないため、実際の削減額については立場を取りません。
この記事のまとめ
- 国の省エネ資料に「自炊をやめた場合」の試算は存在しない
- あるのは調理方法の比較。野菜の下ごしらえは鍋よりレンジで年860〜1,000円
- 前提は100gの食材・1L27℃の水・365日・1日1回。回数が減れば差も減る
- 火力の調整(強火→中火)は年約390円で、器具の置き換えより小さい
- 買い方の4項目に金額は無い。理由は「生ごみの1/4は食べ残しや保存していたもの」という捨てる側の話だから
出典・参考(すべて2026-08-19閲覧)
- 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト|家庭向け省エネ関連情報|無理のない省エネ節約|キッチン」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html